
JAいしのまき管内でイタリア野菜の魅力を発信している農家である東松島市矢本の菅原一郎さん(70)。転機は東日本大震災後の2011年7月。震災で圃場が甚大な被害を受け、再開を諦めかけていた時、トキタ種苗から比較的塩害に強いロマネスコの苗をプレゼントされました。おいしく食べられる料理法も伝授し、イタリア野菜のファンを増やしています。
現在、50㌃でカリフラワーの一種「カリフローレ」や黒キャベツの「カーボロネロ」など9種類を手掛けています。石巻市と東松島市の直売所2店舗の他、首都圏の飲食店向けに出荷しています。
しかし、順風満帆ではありませんでした。はじめは、震災に伴う津波による塩害でうまく育たないなど苦労は絶えませんでしたが、土壌を改良するなど試行錯誤を続けました。菅原さんは「イタリア野菜は出荷し始めてから消費者に受け入れられるまでに時間がかかる。最近は食べ方を提案してきたおかげで、少しずつ地域に浸透している」と手応えを話します。
数年前までは10袋出荷しても、余ることもあった「スティッキオ」は、今では40袋が完売する人気商品。人気が定着していくのに合わせて、各品目とも年3~4回作付けし、出荷が途切れないよう心がけています。
6月下旬にはイタリア野菜のPRと消費拡大を目的に、圃場見学会と即売会を開きました。水沢種苗店とトキタ種苗が協力しました。料理研修会、試食会も開き、普段なじみのない消費者にイタリア野菜の魅力をPR。
圃場見学では菅原さんや種苗店の担当者が、来場者にイタリア野菜の特長を説明しました。また、野菜やオリーブオイルの即売会の他、仙台市でイタリア料理教室を主宰する中村あき子さんを講師に、イタリア野菜を使ったサラダやパスタなどの家庭料理4品を紹介しました。「見た目がきれいですごくオシャレ。思っていたより食べやすい」と来場者から好評でした。
水沢種苗店の本田和彦常務は「菅原さんが牽引しイタリア野菜の栽培者は増えてきている。栽培の輪を広げ『宮城県のイタリア野菜といえばいしのまき産』と言われるよう一緒に産地化を目指したい」と菅原さんを応援します。