石巻市河北地区の伝統野菜「河北せり」のブランド化を目指し、JAいしのまきセリ部会と石巻市河北せり出荷組合、皿貝農産組合は7月27日、「河北せり振興協議会」を設立しました。農産物として県内初となる地理的表示保護制度(GI)の登録を目指し、伝統ある野菜を継承していきます。
地下水が豊富に湧く河北地区では約300年前の江戸時代にセリの栽培が始まりました。県内第2位の生産量を誇り、10~2月に根ごと収穫する「根セリ」と、4~5月は茎葉を刈り取る「葉セリ」の2種類を出荷します。「葉セリ」は石巻地域特有の産物で、柔らかく香りが良く、クセの少ない品種「飯野川在来」限定で出荷。柔らかい分長距離輸送には向かず、地元市場のみに出回る希少価値の高い食材となっています。
GI登録によるブランドの確立、知名度向上を進め、他産地との差別化に取り組み、地域活性化や若手農家の就農、農家の所得向上につなげます。また、地場限定の「葉セリ」を地元飲食店に出荷し、実際に食べに来てもらう仕組みづくりもしたい考えです。
近年は高齢化で生産者が減少し、産地維持へ課題があった。出荷団体も三つに分かれ、栽培方法の違いも出始めたことから、産地一体となって伝統的な栽培方法を守ろうと、協議会の設立に至りました。 石巻市河北総合支所で同日、設立総会があり、JAいしのまきセリ部会など3団体の関係者ら約20人が参加しました。会長は河北地区の高橋正夫同部会長を選出。8月中にGIの申請手続きを行うことなどを確認しました。
高橋会長は「300年以上の歴史がある河北セリ守ることが我々の使命。『河北せり』をブランド化し、大勢の消費者においしいセリを届け、継承したい」と意気込みを語りました。