宮城県東部地方振興事務所は、東部地域農業の活性化と農業所得の向上を目指し、JAと協力して高収益野菜の一つとして期待されるアスパラガスの導入・定着に取り組んでいます。これは県内7圏域で取り組む「みやぎ食と農の県民条例推進圏域重点プロジェクト」の一環です。
東松島市西矢本地区の㈱パスカファーム立沼で4月8日に栽培講習会を行い、関係者ら37人が参加。講師に㈱パイオニアエコサイエンス園芸種子部東日本事業所の松永邦則氏を迎え、定植前後の注意点や管理方法などを学びました。松永氏は「15㎝の深植えにして、通常の定植時期より1~2ヶ月早い3~4月に定植する。株養成期間が長くなり、株が大きく、翌年の収穫量が期待できる」と説明しました。
県とJAは新たに園芸品目の導入を考えていた㈱パスカファーム立沼に依頼し、同社ではアスパラガスの育苗試験が実施されています。今後、同社は苗を提供する重要な役割を担っていきます。同社の佐藤正代表は「県とJAと協力しアスパラガスの産地確立に取り組んでいく。この取り組みを機に地域農業をさらに盛り上げていきたい」と意気込みを語りました。
アスパラガスは、春に収穫する露地栽培が一般的。国産需要が高いが、本格的な収穫まで3年を要し、害虫や病気、気温の影響を受けやすく、栽培が難しい野菜とされていました。しかし、2016年に明治大学がアスパラガスの安定生産のための栽培方法として「採りっきり栽培」を発表、定植翌年の収穫が可能になりました。
今後、県とJAは月に1回定期的に講習会や現地検討会を開催し、その時期に適した管理や注意点を呼びかけていきます。JAでは農家の所得向上、地域農業の活性化に向けさまざまな取り組みを行っていきます。